2023/10/11
「声を大切に!! ~よく声を出す人は声の指導を受けましょう~」
聖隷クリストファー大学 柴本 勇
「かすれ声」は誰でも経験があると思います.多くは,「風邪」など喉の炎症に伴って普段の声と異なった声になる経験と思います.しかし,声を使いすぎて「かすれ声」となってしまう方々がおられます.真っ先にイメージするのが,歌手やアナウンサーなど普段から声を使っている方々でしょう.しかし,職業歌手やアナウンサーの皆さん以外にも普段から声を酷使しておられる方々がおられます.例えば,学校の教諭や保育士の皆さんです.喜友名ら(2023)の報告では,図に示すように,保育士の皆さんに声についてアンケート調査を行うと声の訴えが多く聞かれたとのことです.
図 声の調子が悪くなった時の症状(保育園教諭・保育士へのアンケート調査)
(喜友名朝則:病態に応じた対応―教師,保育士の音声酷使.JOHNS Vol.39 No5, 474-476, 2023)
しかし,同じアンケート調査で「声の指導を受けたことがあるか?」という設問では,95%の方が「ない」と答えていると報告しています.すなわち,普段声をよく使う職業の方でも声の指導を受けていない現状があることを示しています.このような現状では,声をよく使う職業でない方々が声に眼を向けていることは考えにくいです.
欧米では,日本以上に声に眼を向けています.自身を印象付けるものだからです.
お化粧,歯磨き,衣服同様に,自身の声の調子に眼を向けて欲しいと願います.また,普段から声をよく使われる方々は以下の点に留意して毎日生活できるといいですね.
◆声を痛めない日々の生活
・声をださない休憩時間を作りましょう
・のどの乾燥を避けましょう
・のどを刺激する食べ物を知りましょう(炭酸飲料・酒類・チョコレート・香辛料など)
・声を出す時間を極力減らしましょう
・言語聴覚士などの専門家から定期的に声の指導を受けましょう
テクニックでよい声を出す時は専門家に診て頂くときです.自然にリラックスした時の声を録音して聴いて自身の声を知りましょう.少しでも気になったら声の指導を受けましょう.また,声をたくさん出す職業の方々は定期的に声の指導を受けられることをお勧めします.
【参考・引用文献】
喜友名朝則:病態に応じた対応―教師,保育士の音声酷使.JOHNS Vol.39 No5, 474-476, 2023