2022/02/09
残存機能とテクノロジーの活用によって可能性を広げる ①
~AACって何のこと?~
大阪保健医療大学 川畑武義
誰かと関わろうとするとき、私たちはことばだけではなく、表情や視線などことばを用いない情報(非言語情報)からも多くの情報を得てコミュニケーションをとっています。まだことばを持たない赤ちゃんも、表情や視線を使って他者と関わろうとしています。泣く、叫ぶといった一見困った行動でも、相手に思いを伝えたいという意味では立派なコミュニケーションの手段です。
しかし、自分の身体を思い通りに動かすことができない運動障害や、ことばによるコミュニケーションが円滑に進まない言語障害をお持ちの方は、自分の考えや思いを相手に伝えることが難しい場合があります。
そのような場合、残存機能(今出来る能力)を用いてコミュニケーションを拡げるAAC(Augmentative and Alternative Communication;拡大代替コミュニケーション)という支援方法があります。
AACとは、自発的に意思を伝えたり、物事を理解しやすくしたりするために用いる手段や方法のことを指します。例えば、声を発することが難しいのであれば、文字を指さすことで相手に伝えることができますし、絵カードや写真を用いることで物事の理解を助けることができます。大切なことは「手段はこだわらない、今できることをする」ということです。
AACの方法は大きく分けて3つあります。
1.表情や身振りなどを用いる「ノンテクノロジー」
2.文字盤やコミュニケーションボードを用いる「ローテクノロジー」
3.パソコンやタブレットなどコミュニケーション支援機器を用いる「ハイテクノロジー」があります。
私たちが普段使っているメールやSNSもAACとして活用することができます。普段使って便利だと思うものは、誰が使っても便利です。使い方を工夫することで活用方法は広がります。身近なものから試してみることで、有効AACな手段は見つかることもあります。
次回は、「ハイテクノロジー」を操作するために必要なスイッチについて紹介させていただきます!